みみずの女王

2014年10月17日 11:59

4年生への読み聞かせで、『村岡花子童話集 たんぽぽの目』に収録されている『みみずの女王』を読みました。

絵本ではないため、ちゃんと聞いてもらえるか少し心配でしたが、それは取り越し苦労というものでした。

はじめに、「絵がないので心のなかで想像しながら聞いてくださいね」、と言って読み始めたところ、数人の子どもたちが目を閉じて、じっと聞いてくれているのです。

目を閉じてまで・・・!と、子どもたちのあまりの純粋さに嬉しくなりながら、読みました。

目を閉じていない子も、しっかり前を見て聞いてくれていました。


このお話は、フト子さんという大きくて立派なみみずと、せきれいの親子の物語です。


大きくて立派なことを鼻にかけて、友達のいないフト子さん。

いつもいばっているものだから、危険がせまったとき誰も教えてくれませんでした。

周りのみみずがみな土に潜っていったのを、わたしが立派だからだわ、わたしがみみずの女王よ、と得意になるフト子さんに、せきれいのくちばしが襲いかかります。


せきれいのお父さんは、雛たちのために太いみみずをさがしていました。

重くて強いみみずの力にくじけそうになりながら、雛たちのために、ふんばってふんばって、やっとのことでみみずを地面からひきはがします。

そうして巣にもちかえって、家中で大喜びしておいしく食べました。


「家じゅうの者たちが声をそろえて、立派なみみずだ、立派なみみずだとほめるのを、フト子が聞いたらどんなにお得意になっていばったことでしょう。

惜しいことには、そんなにみんながほめているのが、フト子にはもうちっともわかりませんでした。」


なんともいえないお話ですね。

こどもたちも微妙な表情をしていました。一人の子が「ぼく、怖い話苦手だよ」と感想をもらしました。

それを聞いて、はっとしました。

この話はみみずの立場から見ると怖い話ですが、せきれいの親子にとっては嬉しい話。

そして人間にも無縁の話ではありません。

人間こそ、たくさんのものの命をいただいて生きているのですから。


読んだあとに、うーんと考えてしまうお話、なんだかよくわからないけれど心に残る話。

単純でわかりやすいものが多い今だからこそ、新鮮な感じがします。


朝の連続ドラマ「花子とアン」でブームになったおかげで、村岡花子さんや白蓮夫人の関連書籍がでまわるようになって、嬉しいかぎりです。

「みみずの女王」というお話も、朝ドラでとりあげられていなければ、きっと読むことはなかったでしょう。

テレビの影響力とはすごいですね。


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